

どんな資格を持っているかより、どんな未来をつくりたいかー。
私たちアイユーコンサルティンググループは、
2013年の創業以来、相続・事業承継の分野で、
人と企業の「これから」に寄り添う挑戦を続けてきました。
そんな私たちは、「日本のミライに豊かさを」というビジョンのもと、
士業の枠を超え、より大きな社会的意義を持った組織へと進化しようとしています。
本対談では、グループ代表を務める岩永 悠と出川 裕基が、
創業の原点、事業に込めた想い、
そしてこれから共に未来を切り拓く人材像について語り合います。
PROFILE

岩永 悠
グループ共同代表
西南学院大学経済学部卒業。京都大学経営管理大学院 上級経営会計専門家(EMBA)プログラム修了。2007年に九州の中堅税理士法人に入社。26歳で税理士登録後、国内大手税理士法人の福岡事務所設立に参画。13年岩永悠税理士事務所として独立、15年税理士法人アイユーコンサルティングに改組し法人化。19年よりグループ化に着手し、インキュベート事業の㈱IUCG、第三者承継の手段であるM&AやIPO支援を主力事業とする㈱アイユーミライデザイン、顧問特化型の税理士法人IU Management等を設立。「日本のミライに豊かさを」をビジョンに掲げ、現在8法人1事務所体制でグループを運営している。
創業者としてグループ経営に携わる一方で、自身も組織再編を活用した高度な事業承継、相続対策を提案・実行。提案型コンサルタントとして大型案件を中心に実務を行いながら、セミナー活動や団体活動を中心に業界発展のために力を注いでいる。

出川 裕基
グループ共同代表
2009年に国内大手税理士法人の東京本社に入社。同所では最年少管理職を担い、相続税申告、事業承継、組織再編及び地主の相続対策、M&Aなど数百件以上の資産税案件を手掛けてきた。
17年よりアイユーコンサルティンググループ参画、共同代表、インキュベート事業の㈱IUCG、第三者承継の手段であるM&AやIPO支援を主力事業とする㈱アイユーミライデザイン、顧問特化型の税理士法人IU Management等を設立。「日本のミライに豊かさを」をビジョンに掲げ、現在8法人1事務所体制でグループを運営している。
現在は新規事業創造・グループ経営に携わる一方で、大型の事業承継・相続案件を中心に実務を行いながら、金融機関や全国の専門家に向けての講演・執筆活動を通じて、業界活性化のために尽力している。
SESSION.1
“想いと資産”を次世代につなぐ、相続・事業承継の専門家集団として急成長

岩永
アイユーコンサルティンググループは創業以来、一貫して「相続」と「事業承継」の領域に特化してきました。単に資産や事業を次世代に引き継ぐだけではなく、相談者に寄り添い、想いも汲み取ったうえで、最適なご提案とサービスを提供する-ーその積み重ねが信頼となり、これまでに手がけた案件数は累計5,700件以上、顧客満足度は常に98%以上を維持しています。創業時は僕とパート2名の計3名でしたが、今では国内14拠点・海外1拠点、総勢約180名の専門家集団へと成長しました。

出川
僕たちが大切にしているのは、資産や事業だけでなく、“想い”まで次世代につなぐこと。だからこそ、相続と事業承継の両方に深く向き合ってきたんです。
特に事業承継では、株式の引き継ぎや税務対策といった目に見える課題だけでなく、「誰に託すのか」「家族との関係はどうあるべきか」といった目に見えない葛藤がつきもの。
そうした多面的な課題に対して、僕たちはグループ内の税理士やコンサルタント、外部の専門家とも連携しながら、総合的に支援できる体制を築いてきました。

岩永
特にこれからの日本では、事業承継の必要性はもっと高まっていくはず。高齢化が止まらない日本では、2025年には「経営者が70歳以上」の企業が約245万社まで増え、その約半数が後継者不在と言われている。つまり、120万社を超える企業が、現在の社長が引退した瞬間にビジネスを続けていけなくなるリスクを抱えているんです。たとえ事業そのものは順調であったとしても。

出川
いわゆる「黒字倒産」のリスクですね。もちろん、小規模な商店などでは「仕事をやり切って店を畳む」という自然な終わり方もある。だけど従業員がまだ現役だったり、会社にしかない技術が残っていたりすると、その“自然な閉業”が、社会にとっては大きな損失になることもある。
だからこそ僕たちは、税務の枠にとどまらない“事業の持続可能性”に向けた支援に力を入れているんです。

岩永
そう。僕たちは“税務申告を代行するだけの税理士集団”を目指しているわけではない。“想いと資産の継承”に本気で向き合うプロフェッショナルとして、成長してきた組織なんです。
SESSION.2
創業、成長、承継、そして第二創業まで。企業の一生に寄り添う“循環型支援”のかたち

岩永
とはいえ、僕たちが取り組んでいるのは相続や事業承継だけではありません。
今、日本社会では「挑戦が生まれにくく、継続しづらい」という構造的な課題があります。開業率は約5%と先進国でも最低水準。これは、単なる数字の問題ではなく、社会全体が停滞していく兆しだと懸念しています。だからこそアイユーコンサルティンググループでは、相続・事業承継だけでなく、経営理念に基づいて数値と行動計画の作成を支援する「ミライサイクル(MAS監査)」や、スタートアップの成長支援を軸としたサービスも展開しています。

出川
東京で動いているスタートアップ向けの顧問サービス「グロース顧問」は、まさにその取り組みのひとつ。創業フェーズでは、資金調達、人材戦略、組織設計、法務対応など、経営者が一人で抱え込むには重すぎる課題が山ほどあるなか、僕たちが伴走し、意思決定のパートナーになるという“新しい顧問のかたち”を目指しています。

岩永
そうしたスタートアップ企業が成長し、やがて次の世代へバトンを渡す段階では、事業承継や相続の支援が必要です。その承継を起点にした“第二の創業”ともいえる再成長のフェーズも控えている。だからこそ、創業支援から成長、承継、そして二次創業まで――企業のライフサイクルすべてに寄り添う体制を整える必要があるんです。

出川
だから僕たちは、単なる「税理士法人」にとどまるつもりはありません。
目指しているのは、中小企業のための“総合デパート”のような存在。税務や財務はもちろん、人事、広報、組織づくりなど──中小企業が直面するあらゆる経営課題に、ワンストップで応えられる存在でありたい。お客様の悩みに真正面から向き合い、「ここに相談すればなんとかなる」と思ってもらえる、そんなグループにしていきたいんです。

岩永
そうした支援の拡充や体制強化も、すべてはグループビジョンである「日本のミライに豊かさを」を実現するために逆算して考え、取り組んできたもの。そのビジョンの出発点には、僕たち自身の原体験があります。少し話はさかのぼりますが、ここからは、アイユーコンサルティンググループの創業当初について話をしましょう。

SESSION.3
創業時から変わらない「未来へのコミット」というスタンス

岩永
僕が税理士になろうと決めた理由は、大学生1年生の頃に「独立しやすい仕事」として本に書かれていたから。最大のモチベーションは「経営者になる」ことだったんです。そこから逆算し、自分のキャリアを設計した。税理士はあくまでも目的を達成するための手段でした。

出川
僕はもっと曖昧でしたね。大学には通っていたものの授業が退屈で、たまたま友人に勧められたのが税理士試験の勉強でした。やってみたら面白くてハマってしまって(笑)。当時は「成長意欲」とかじゃなくて、シンプルに“打ち込める何か”が欲しくて、その対象がたまたま税理士だったという感じかな。

岩永
税理士は年収が高いって話もあったし(笑)。経営者になると決めてからは、「35歳までに年収3,000万円を稼ぐ税理士になる」という目標に向け、予備校に通いながら猛勉強しました。2007年に中堅の税理士法人でキャリアをスタートし、次に移った大手税理士法人では福岡拠点の立ち上げメンバーに。そこで出会ったのが、東京本部から一時的に福岡に派遣されてきた、当時24歳の出川くんでした。

出川
僕はその頃、「最年少でマネージャーになる」という目標達成に向けてひたすらに働いてました。
ーお互いの印象は?

岩永
東京から優秀な若手が来る、と社内で噂になってて(笑)。一緒に案件を担当しましたが、確かに仕事ができる人だと思ったのを覚えています。

出川
岩永さんはチームをリードしている先輩という感じでしたね。仕事も飲みも全力で一緒に楽しんだなー。

岩永
なつかしいね(笑)。その後僕は福岡で創業し、念願の経営者に。当時は「創業10年、メンバー30名、売上4億円。九州で資産税分野でトップになる」という目標を掲げていました。ちなみに一番最初に誘ったのは、今や税理士法人代表社員で西日本統括を務める神谷くんです。前々職の後輩で、絶対的な信頼を置いていました。

SESSION.4
2人の代表体制が生み出す、1+1が100になる組織力

岩永
当時掲げた目標達成が見えてきたのが、創業5年目の頃です。次なる目標として東日本への進出を考えたとき、タイミングよく出川くんと再会したんです。

出川
当時僕は29歳で、最年少で管理職を務めていました。一通りの業務はこなせるようになってきたけど、同時に「サラリーマンとしての限界」も感じはじめていて。そのタイミングで岩永さんと話す機会があって、「やるなら、ダブル代表で一緒に走りましょう!」と伝えました。

岩永
出川くんなら同格の視座で付き合える相手だと確信していました。それ以来、経営の全てを2人でイーブンに話し合って決めています。僕たちは志は同じでも、営業の得意分野はかなり異なります。僕が組織営業に強く、出川くんは尖った人材や企業に強い。その相乗効果で、僕が日本の西側を、出川くんが東側を開拓し、神谷くんは内部体制を統括する。いまの体制の原型が、その頃にできあがりました。

出川
「なぜ代表が2人いるんですか?」と聞かれることもありますが、僕らにとってはこれが自然なスタイルなんです。お互いを尊重しながら、自分の強みを発揮する。シンプルに、馬力も2倍になりますし(笑)。

岩永
そうそう。切磋琢磨し合えば、1+1が100になることだってある。これまでの成長は、出川くんや神谷くんをはじめ、メンバーに恵まれたおかげです。今では180名近いメンバーを擁する組織にまで成長し、創業当初は「自分が経営者になる」ことが目的でしたが、今は「組織の成長のために自分はどうあるべきか」と考えるようになりました。そのマインドの変化が、今のビジョン──“日本のミライに豊かさを”──にもつながっているんです。

出川
岩永さんが言うように、僕たちの成長は、志を共にするメンバーに恵まれてきたからこそ実現できたもの。けれど、今見据えているのは、単なる組織の拡大ではありません。
僕らが掲げている「2033年までに売上35億円、300名体制」という目標も、あくまでグループビジョンである「日本のミライに豊かさを」を実現するための一つの通過点にすぎません。社会や企業を取り巻く状況が日々変化していくなかで、組織もサービスも進化し続ける必要があると考えています。
SESSION.5
「想い」を言語化する──拡大する組織に必要だった“共通の未来像”
ー 2022年にビジョン・ミッション・バリュー・行動指針を策定していますね。

岩永
創業当初はミッションなんてものはなくて、ただがむしゃらに走っていました。しかしスタッフが30名を超え、拠点も各地に増えるなか、経営層と現場の間に段々と“感覚のズレ”のようなものが出てきたんです。僕たちが大切にしてきた価値観――たとえば「お客様にどう向き合うか」「何のために働くのか」――を言葉にして伝える必要性を強く感じました。そのタイミングで、僕の方でミッションを考えました。その後、2022年に従来の“ミッションだけの理念”を刷新し、今のビジョン・ミッション・バリュー・行動指針を策定したんです。

出川
僕も岩永さんも、もともとは「理念で飯は食えない」って思ってたタイプなんですよ(笑)。でも、組織が成長してメンバーが増え、価値観や強みもどんどん多様化していくなかで、共通の“未来像”を持たないと、一枚岩で走れない。だからこそ、創業以来ずっと当たり前にやってきたことを、改めてしっかり言語化しようと考えたんです。

岩永
僕たちの仕事は、企業が挑戦して成長し、次の世代へ想いや資産を継いでいく過程に寄り添い、サービス提供すること。つまりそれは、経営者や資産家の人生に伴走し、地域や社会、日本のミライに貢献する仕事だということです。僕たちはそれを、「ミライの豊かさを創る仕事」と定義しました。そう考えると、必要なのは“個の力”なんです。だからこそ、アイユーコンサルティンググループでは「自分自身が商品だ」という考えを大事にしています。

出川
資格でもマニュアルでもなく、人の心を動かすのは結局のところ“人”ですからね。だから僕たちは、一人ひとりに「まずは自分のために頑張ってほしい」と常日頃から伝えています。自分の成長ややりがい、働き方と向き合いながら、自分のために挑戦する。そのエネルギーが、いずれお客様や社会に還元されていく。そんな好循環をつくるために、僕たちはMVVCを掲げているんです。
SESSION.6
自走と挑戦が生む、新規事業の連鎖

出川
そのために組織として「自走できる環境」を整備してきました。単に「成果を出せ」と指示されるだけなら、会社に所属する意味はない。だからこそ、アイユーコンサルティンググループでは「想いを形にするプロセス」にしっかり伴走する文化があります。

岩永
たとえば、2025年7月にスタートした海外移住コンシェルジュサービス。これは僕が主導となって新卒入社5年目のメンバーと動き始めた新規事業です。入社当初から「いずれ英語力を活かして海外で活躍したい」というメンバーの夢から始まったプロジェクトで、こんな風にメンバーの想いを起点に、グループ全体で新たなチャレンジを後押しする風土もあります。

出川
僕と東京のメンバーで動いている「グロース顧問」も、同じように動き出したサービスです。これはスタートアップ企業の成長を支援する、“新しいかたちの顧問業務”。責任者を務めるのは、中途で入社した若手マネージャーです。中小企業支援で培った経験を、創業フェーズの企業の未来に還元していく。まさに、グループの理念を体現する新しい挑戦です。

岩永
相続や事業承継だけでなく、スタートアップ支援、ミライサイクル(MAS監査)、海外事業ー。すべてのフィールドにおいて、それらは社会の豊かさにつながっていくと信じています。
「日本のミライに豊かさを」というビジョンは、そんな日々の積み重ねから生まれたものなんです。

SESSION.7
人としての力を磨き、信頼に応えるプロフェッショナルへ
ー 企業や資産家を支援していくために必要な力とは。

岩永
AI活用が進む昨今において、単に税務の知識だけを武器にする時代ではなくなってきています。経営の現場に深く入り込んで提案し、信頼を得ていくには、圧倒的な思考力と実行力が求められるし、それを裏打ちする人間力が必要です。だからこそ、僕らは「人としての成長」に強くこだわっているんです。

出川
結局、最後にものを言うのは“この人だからお願いしたい”と思ってもらえる力。信頼って、数年一緒にいるだけじゃ築けないんです。本当に厳しい経営の局面で腹を割って話してもらうには、「どんなときもこの人は伴走してくれる」と感じてもらえるかどうかがすべて。僕らはその“本音”を引き出せる存在にならないといけない 。

岩永
そうだね。最近では色んな業界でAIが当たり前に業務に入ってきているし、今後データを整理して分析して提案するといった中間工程の価値は、どんどんテクノロジーに置き換わっていくと思う。でも、お客様の気持ちや悩みを丁寧に“聴く”ことは、AIにはできない。心の奥にある違和感や不安をすくいあげ、まだ言葉になっていない思いを引き出す力――これは、僕たち人間にしかできない本質的なスキルだと考えています。

出川
だから僕たちは、単なる「税理士法人」にとどまるつもりはありません。
本当の力は、机の上の知識だけでは身につきません。僕は「自走できる人が集まれば、組織も自然と前に進んでいく」と考えています。そして、その“自走力”の原点になるのは、スキルではなく「人としての在り方」だと思うんです。お客様とどれだけ本気で向き合えるか。どれだけ誠実に行動できるか。そうした日々の姿勢の積み重ねが信頼を生み、その信頼が、さらに人を成長させていく。そういう好循環を生む文化を、これからも大切にしていきたいですね。

岩永
僕らが求めているのは、「士業だから安心」ではなく、「この人だから信頼できる」と思われる存在です。そのために、経営側としてもどんどん裁量を渡すし、チャンスも用意する。若手でもやりたいことがあれば、手を挙げて実行していい。だからこそ、本人が「本気で成長したい」と思えるかどうかがすごく大事なんです。資格よりもマインド。僕たちは、そんな仲間とともに、これからの時代の“本当に頼られるプロフェッショナル”をつくっていきたいと思っています。
SESSION.8
次世代に経営を託す覚悟で、仲間の成長に本気で向き合う
ー 最後に、未来のメンバーにメッセージをお願いします。

岩永
アイユーコンサルティンググループは、平均年齢35歳という若い組織です。新卒で入社した場合、まず上司と一緒に現場を回りながら、段階的に業務を任せていきます。いきなり「全部やって」と投げることは決してありません。伴走しながら、3年ほどかけて一人で案件を完結できる程度の力を養っていきます。実務力と自走力の両方を育てていく、それが僕たちの育成スタイルです。

出川
その後は、専門性をとことん追求する「エキスパートコース」と、組織を牽引する「マネジメントコース」に分かれてキャリアを築いていきます。キャリアを築いていく中で、新規事業や新拠点の立ち上げを任されるメンバーも出てくるでしょう。僕たちはそうした大きな挑戦のチャンスを、年齢や年次を問わず用意していきます。

岩永
特に新卒採用で僕たちが求めているのは、『主体性』 『逆算思考』、そして 『素直であること』です。自分の弱さや至らなさを認めるのは勇気がいることですが、それを受け入れられないと、せっかくの成長のチャンスを逃してしまう。だからこそ、まずはフラットな関係の中で、たくさん会話を重ねていきたいと思っています。
経営陣と現場の距離を気にする方もいるかもしれませんが、僕も出川くんも、新人を含めメンバーとコミュニケーションをとるのは大歓迎です(笑)。

出川
だから僕たちは、単なる「税理士法人」にとどまるつもりはありません。
中途入社を検討している方には、「ここは自分の価値を磨ける場所」だと伝えたいです。今の環境で、何となく物足りなさを感じている方、もっと成長したいと願っている方にこそ、飛び込んできてほしい。そして、将来的には「経営」にも関わってほしいんです。税理士業界は世襲制が根強いところもありますが、僕たちは違いますから。

岩永
そうそう。子どもに跡を継がせるつもりはありません(笑)。僕は「53歳で税理士法人の経営を引退する」と決めているんです。つまり、それまでに次の経営者を社内から輩出しなければならない。
だから代表の座を狙うつもりで、挑みに来てください!
心から、そういう人を待っています。
